セロリ案件

世界を征服しようぜ

ベストマッチなあの二人

現行の作品『仮面ライダービルド』(以下『ビルド』と略)がとても面白いんです。
前作の『仮面ライダーエグゼイド』がストーリー展開で魅せてくれたのに対し、どちらかと言うとキャラクターの関係性で魅せてくれるのが『ビルド』。もちろんどちらのストーリーもキャラクターも魅力的なのですが、私の中で『ビルド』は登場人物達の信頼関係に比重を置いている印象があります。『エグゼイド』の信頼関係も本当に泣けるんでいつか書きたい…トリロジーBDが届いたあたりにでも……小説までには……!



先週の『ビルド』を見て、主人公である桐生戦兎(仮面ライダービルド)とバディの立ち位置にいる万丈龍我(仮面ライダークローズ)に改めてグッときました。ということで、これまでの二人の掛け合いで好きなシーンを3つまとめてみました!



まずは30話より。

これは戦兎が万丈に強化アイテムを渡した際の会話です。

「万丈」
「あぁ?」
「俺が使うために持ってきたけど、お前に貸してやるよ」
「おおー!完成したのか!よーし、負ける気がしねぇ!」

この数秒から二人のいろんな関係が見えるのが面白くて大好きなんです。

まず、この強化アイテムは万丈のデータを分析してより万丈の力を強くすることを目的とした万丈のために創られた武器なんです。
そして、この戦いの場へは戦兎が一人で乗り込むつもりだった。つまり、この場に万丈専用強化アイテムがあることが不自然なんですよ。

せっかく創ったからと本当に戦兎が使うために持ってきたのかもしれないし、もし万丈が来たときのためにと思って持ってきたのかもしれない。真相は分かりませんが、それでもわざわざ「俺が使うために持ってきたけど、お前に貸してやるよ」なんて言い方をするところが戦兎らしいなと思います。

万丈も万丈で「恩着せがましい」とか思わずに「完成したことを喜んだ」上で「これがあったら負ける気がしない」と言ってしまう。万丈の素直さと戦兎への信頼感が見えて良いですよね。




話は遡って、桐生戦兎としてのアイデンティティに迫る14話。
戦兎は悪魔の科学者と呼ばれた葛城巧その人だったと分かる話です。
ずっとみんなを守るために戦ってきた戦兎が、実は人々を襲う怪物スマッシュを産み出していた。そして目の前にいるスマッシュ自体も元は人間。自分が存在しなければと自責の念に駆られて攻撃の手を止めてしまいます。

万丈
「何で攻撃しねぇんだよ」


戦兎
「俺がこいつらを創ったんだ。人の命を弄ぶように、ガスを注入して、こんな姿にさせて。俺がいなければ誰も傷つかずに済んだ」


万丈
「お前が創ったのはスマッシュだけじゃねぇだろ。そのベルトはお前や大勢の明日を、未来を、希望を、創ってきたんじゃねえのかよ。誰かの力になりたくて戦ってきたんだろ。誰かを守るために立ち上がってきたんだろ。それが出来るのは葛城巧でも、佐藤太郎でもねぇ、桐生戦兎だけだろうが」

ここ!!!ほんとここ!!!!

「それはお前がやったことじゃない」とか、言わないんです。そんなこと言っても堂々巡りだし責任転嫁で誰かが傷ついてしまうから。「葛城巧としてやってしまったであろうこと」を認めたうえで、「桐生戦兎としてやってきたこと」を認めてくれる。戦兎は誰でもない「桐生戦兎」だとハッキリ言ってくれる男なんです、万丈は。そこに他意も飾り気もなく、誰でもない戦兎に伝えたくて叫んでいるんです。いい奴だな~!

この「大勢」のなかには万丈も含まれているんですよね。万丈は「何かを誰かを守るために」戦える力(=仮面ライダー)を与えてくれた戦兎に、自分の未来や希望を繋いでくれた戦兎に感謝していて、戦兎が創って与えてくれた力で「桐生戦兎」の存在を証明しようとしているんです。熱い…熱すぎる……!

万丈のセリフのところでOPがフルで流れる演出もよかったですね~!ここでもってくるのか!

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『ビルド』1クールは「空っぽだった男が[桐生戦兎]になる話」なんですね。「桐生戦兎」として生きた1年を素直な言葉で肯定した万丈。この言葉で迷いが消える戦兎。熱いですね!!

OPフル尺を入れるあたり、やはり気合いの入った演出ですね~。見ごたえあります。




最後は16話!私が一番大好きなシーンです。

まずは冒頭をご説明します。
ものすごい力を発揮するかわりに身体への負荷が大きいスクラッシュドライバー。それを使い続けようとする万丈を戦兎は下記のように止めます。

「俺のヒーロー感が薄れるだろ!東都のヒーローはビルドなの。なのにサブキャラのお前が俺より強かったら東都の子ども達が悲しむでしょうが」


いやぁ戦兎らしいですね!

万丈は戦兎に多大な恩を感じていて戦兎に絶大な信頼を寄せていて、それを割りと直接伝えているんですよ。
その反面、戦兎は上記のように嫌味を交えたり茶化したりしないと伝えられないんです。頭がいい分理屈っぽくなっていて。
このあたり、万丈と戦兎の性格の違いや考え方の違いが顕著に出ていて面白いですね。

そして終盤。戦兎からスクラッシュドライバーを奪った万丈のセリフと、それに対する返事があまりに熱くて大好きなのです。

万丈
「美空のためだ。こいつはヤバいベルトなんだろ。お前に何かあったら、美空が悲しむ。あいつにはもうお前しかいねぇんだよ。俺なら例え死んでも誰も文句は言わねぇ。こういう役回りにはうってつけなんだよ。悪いが、ヒーローは俺だ」


~(戦闘中)~


戦兎
「死んでも誰も文句言わねぇだと。なら俺が言ってやるよ。ふざけんな。俺は誰も死なせない。敵も味方も。それが俺の戦い方だ」

魅力つまってますね~!!
戦兎は「誰かのために」戦うということを理解した上で美空を引き合いに出す万丈、憎いです!そして消えた恋人を思い出させる一言。笑いながら自嘲気味に言うところが切ないです。加えて冒頭の戦兎のヒーロー発言を使うところ。万丈の優しさがパンッパンに詰まってます。

対する戦兎ですよ!
「死んでも誰も文句言わねぇだと。なら俺が言ってやるよ」
もうこの台詞大好きすぎて……!熱くないですか?!
自虐的に言った言葉への返しとして率直に伝えられない戦兎らしさが溢れてますね。喧嘩腰に嫌味っぽく煽って返す。けれど愛がないと出て来ないですよ、この言葉。

やっぱ熱いな、これ!このシーン!また見たくなってきた!




戦兎は世界の人々のために戦います。けれど万丈は万人のためには戦えない。自分が信じた人や自分を信じてくれる人のためにしか戦えません。それって戦兎のことなんですよね。自分を信じて救ってくれて、自分に戦う力を与えてくれて、ここまで導いてくれた。
万人を助けたいという思いで戦う戦兎。その戦兎に手を差し伸べる人になろうと拳を振るうんです、万丈は。一海から「気持ち悪いな、お前」と言われるほどの思いを抱いて。戦兎から与えられた力を使って。



現在30話。
お互いのことを支えあって腕引っ張って尻叩きあって成長して前に進んでいくバディがこれからどうなるのかが楽しみです。



以上が二人にフォーカスを当てた私の大好きなシーン3選になります。二人以外でも好きなシーンたくさんあるのでまとめたいなぁ。

あと『ビルド』はセリフがしっかりしてますよね。ポロっと溢れた言葉と違って、言うぞ!という決め台詞のような。劇的だったり漫画っぽかったりしてそれはそれでいいなぁ~と今回セリフを思い返しながら思いました!